ぜいたくな短編集である。この1冊で実力のあるミステリー作家6人の作品が堪能できるのだ。 彼らはミステリーという「闇」の中でも、それぞれ得意な分野で本領を発揮する。小池真理子、鈴木光司、坂東眞砂子、小林泰三の作品には人の心に潜む恐怖が描かれ、瀬名秀明、篠田節子が描く「闇」は科学の進歩が生みだす恐怖だ。
----------
小林泰三についてちょっと語りたい。
今まで軽く数百冊を超える小説・エッセイを読んできたけど、
ハードSF作家としての小林泰三ほど
既成の価値観をぶっ壊すことに長けている作家は他に類を見ない。
もちろん、いい意味でも、悪い意味でも、だ。
いい意味というのは、
既成の価値観の破壊、それ自体が一種の爽快感をもたらす、ということだ。
科学と論理の力で、今までそれが正しいと思ってきた常識を覆すのは
老朽化したビルを粉々に爆破するのにも似た爽快感がある。
それは、とてつもなくスケールの大きい物に遭遇したときに自然と湧き上がる感動だ。
悪い意味というのは、
既成の価値観の破壊が、
アイデンティティをクライシスさせてしまう、ということだ。
例えば、時間、死、現実など、
絶対に確かだと思っていること・その絶対性の上に自分の精神が立脚しているようなもの、
それらが容易に破壊されてしまう。
人によっては発狂しちゃうんじゃないかというぐらい、精神衛生的にまずいのだ。
根源的な不安が、これでもかというほど駆り立てられ、
心の傷跡ができてしまいかねないのだ。
以上の内容を要約すると、
良い子は読むなよ!
ということになる。
(そんなんでいいのか)
-----------
とまあ、小林泰三のハードSFはこんな感じなのであまり人にはオススメできませんが、
この文庫に収録されている「兆」はハードSF的要素の薄い、
純粋なホラーに仕上がっているので、
怖いものが読みたい人にはオススメです。
----------
小林泰三についてちょっと語りたい。
今まで軽く数百冊を超える小説・エッセイを読んできたけど、
ハードSF作家としての小林泰三ほど
既成の価値観をぶっ壊すことに長けている作家は他に類を見ない。
もちろん、いい意味でも、悪い意味でも、だ。
いい意味というのは、
既成の価値観の破壊、それ自体が一種の爽快感をもたらす、ということだ。
科学と論理の力で、今までそれが正しいと思ってきた常識を覆すのは
老朽化したビルを粉々に爆破するのにも似た爽快感がある。
それは、とてつもなくスケールの大きい物に遭遇したときに自然と湧き上がる感動だ。
悪い意味というのは、
既成の価値観の破壊が、
アイデンティティをクライシスさせてしまう、ということだ。
例えば、時間、死、現実など、
絶対に確かだと思っていること・その絶対性の上に自分の精神が立脚しているようなもの、
それらが容易に破壊されてしまう。
人によっては発狂しちゃうんじゃないかというぐらい、精神衛生的にまずいのだ。
根源的な不安が、これでもかというほど駆り立てられ、
心の傷跡ができてしまいかねないのだ。
以上の内容を要約すると、
良い子は読むなよ!
ということになる。
(そんなんでいいのか)
-----------
とまあ、小林泰三のハードSFはこんな感じなのであまり人にはオススメできませんが、
この文庫に収録されている「兆」はハードSF的要素の薄い、
純粋なホラーに仕上がっているので、
怖いものが読みたい人にはオススメです。
コメント