目を擦る女

2005年6月10日 読書
小林 泰三

「わたしが目を覚まさないように気をつけて」隣室に棲む土気色の肌の女は言った。指の付け根で目を擦りながら―この世界すべてを夢見ているという女の恐怖を描いた表題作ほか、冷徹な論理と呪われた奇想が時空間に仕掛ける邪悪な7つの罠。

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この著者最高のハードSF短編集

もうヤヴァいね。
センスに溢れている作品は世の中にたくさんあるけど、
この作品はセンスそのものって感じです。
もう別格。
未曾有のブラックユーモアを味わえます。
ホント何回読み返しても面白い!

お気に入りは
「空からの風が止む時」
「刻印」
「未公開実験」
「予め決定されている明日」
です。表題作は微妙だった(笑)

まぁここまで褒めちぎっといてなんですけど、
この小説、万人には、とてもじゃないけどオススメできません。

なぜなら、こういう、既存の価値観を破壊する系の小説は、
すごく人を選ぶから。

既存の価値観(つまり常識)を純粋に信じられなくなった人なら、
十分楽しむ余裕があるんでしょうけど、
そうでない人はきっと読んでいて不快感を覚えるはず。
おれも最初「酔歩する男」読んだ時は、めちゃくちゃ気分悪くなったし。
やっぱ自分の信じてきた世界が崩れるのはつらいですよ。
巷にあふれている無条件的なエンターテイメントとは
全く異質な小説なので、読むときはには相当な覚悟が必要です。

おれは読まなきゃよかったって軽く後悔してますが、
こういう面白さは他では絶対に味わえないので、
麻薬患者のごとくハードSFの世界にはまってしまいました(笑)

「普通」に対してうんざりしている人や、
我こそはと思う玄人には
ぜひ挑戦してもらいたいっすね(笑)

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