鈴木光司 角川書店 2000/09 ¥680

闘え、武器は肉体と意志の力。全人類がガン化するとき、アメリカの大地に神は舞い降りた。激しい光に否応もなく魂はゆさぶられる。「リング」「らせん」に続く世界を挑発する鈴木文学の最高傑作。

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「リング」「らせん」に続く、シリーズ完結篇にして
シリーズ中最も面白かったのが、この「ループ」です。
なんというか、一作ごとにスケールがどんどん大きくなり、
同時に作品の質的にもどんどん大きくなっていった、すごいシリーズでしたね。

このリングシリーズは一般にホラーにジャンルされてますが、
一口にホラーといっても、様々な作品があると思います。
あえて、ホラーを「恐怖を与える作品」と定義するなら
第一作の「リング」が一番ホラー指数が強く、
第三作になるにつれ、その傾向は弱くなっていきます。
(逆に、SF的要素はどんどん強まっていきますね。)

「リング」は本当に、怖かった。
世の中には、怖いと呼ばれる話がたくさんありますけど、
私はそれらの話を全く「怖い」と思えません。
なぜなら、根拠がないから。
怖くなる理由が全然ないのに、無理やり雰囲気やノリだけで
「怖い怖い」と騒ぎ立てる。
ごめん・・・ちょっと勘弁して・・・
ところが、この「リング」はその雰囲気だけを使い、
見事に「恐怖」を表現しているんですね。
ほんと、作者の才能がうらやましくなりますよ。

「らせん」はさらにすごい。
「リング」を書いた当時は、この「らせん」の構想はなかったそうですが、
ほんとかよ? 嘘だろ? なぁ嘘だって言ってくれよ?
という感じです。
ありえないです。
こんなうまく話がつながるもんなんですかね?
科学的根拠もしっかりとしてきて、納得のいく面白さが味わえます。

そして、「ループ」。
全ての謎が鮮やかに解かれました。
謎を謎にままにしておかず、ちゃんと答えを出してくれるのは有り難かった。
しかも、その答えがまた素晴らしい!
納得できるものだったし、何より読後感がやばかった。
自分の存在が希薄になるほどの圧倒的非現実感。
めったに味わえる感覚ではないでしょう。

オススメします。

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