ISBN:4877286330 文庫 村上 龍 幻冬舎 1998/08 ¥560
夜の性風俗ガイドを依頼してきたアメリカ人・フランクの顔は奇妙な肌に包まれていた。その顔は、売春をしていた女子高生が手足と首を切断され歌舞伎町のゴミ処理場に捨てられたという記事をケンジに思い起こさせた。ケンジは胸騒ぎを感じながらフランクと夜の新宿を行く。97年夏、読売新聞連載中より大反響を引き起こした問題作。読売文学賞受賞作。

・・・・・・・

ぶっちゃけ私は村上龍が大好きです。尊敬してます。
彼の考え方にはとても共感できますし、
彼の作品を読んで元気になったことは数え上げればきりがありません。
人生の中で一番大切なことを彼の作品から教えてもらった気がします。

そんな村上龍の作品ですが、どれもこれも皆面白いうということはなく、
作品によってだいぶ格差、というか方向性が違います。
私の好きなのは、「5分後の世界」や「希望の国のエクソダス」といった
新しい価値観、こうして生きたら、楽しいし充実するだろうな
と本気で思える価値観を提示してくれる作品たちです。
ただ、本書はそういったポジティブな作品とは違い
残酷なまでに今の日本の現状を抉り出している
読む人によっては不快感を感じかねない内容です。

本書からは私は自分の周りに張り付いている空気と同じような
どうしようもない閉塞感を感じました。
「このままじゃいけない」という感覚かな。
とにかくこの本を読むことによって
いつも感じていた曖昧でもやもやとしたその感覚が
少しだけはっきりしました。

ほとんどの場合、私はこの閉塞感から自由になることができませんが、
その正体を知ることで少しだけ自由になることができる気がします。

たとえそれが悲しいだけでも
私は世界を知りたい。
その先にこそ自由はある。

と詩的に締めくくろうと思ったのですが、
如何せん無理がありますね。
では。この辺で。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索