文学部唯野教授

2004年12月23日 読書
筒井 康隆

我らが若き主人公・唯野仁。彼は早治大学英米文学科の名物教授にして、実は隠れて小説を発表している新進作家、何やら不穏な幕開きである。「大学」と「文学」という二つの制度=権力に挑んだ衝撃の長篇小説。

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大学教授である主人公が「文芸批評」の講義をするという
きわめて難解なパートと
その主人公が大学という特殊な世界で
筒井史上最高ともいえる爆笑のドタバタ喜劇を演じるパートの
2部構成になっています。

文芸批評の方は面白いっちゃあ面白いんだけど
あんまり一般受けはしないだろうなぁ、という内容でした。
もともとがすごい難しい話だから、
かいつまんで分かりやすく言ってくれてるのは分かるんだけど、
それでもやっぱ難しすぎるよって感じ。

文芸批評と哲学は切っても切れない関係らしく
記号論とか構造主義とかその辺がいっぱい出てきます。
これらの難しい概念についてもちゃんと分かりやすい解説をしてくれて
(というか、この概念が分からないとその理論を用いた文芸批評も何なのかが分からない)
いい感じでした。

そして特筆すべきはなんと言ってもドタバタの方。
これがもうホントにレベルの高い“笑い”だった。
その“笑い”たるや、このブックレビューで紹介した他の本たちを
6馬身差ぐらいぶっちぎって勝っています。

おすすめ。

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